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ポエトリーリーディングで世界とつながろう



ポエトリースラムジャパンを応援いただいている皆さま、いつも本当にありがとうございます。そしてポエトリースラムジャパンを最近知って、このページをご覧になっている皆さま、興味を持っていただきありがとうございます。

ポエトリースラムジャパンはポエトリーリーディングの日本選手権大会です。2019年大会は5年目、6回目の開催。そして最後の大会でもあります。

大会スタートのきっかけは、私が2014年にパリでポエトリースラムの国際大会(W杯)に出会ったこと。その時点で長年ポエトリーリーディングをやっていましたし、欧米などで日本より盛んなのは知っていました。とはいえ、国や言葉の違いを越えたインターナショナル・スラムまであるとは思ってもみませんでした。

ヨーロッパ、北米、南米、アフリカなど20カ国以上の国と地域の代表が、それぞれの国の言葉で朗読をする。知らない言葉の知らない響きに、体の奥のほうを揺さぶられます。スウェーデン代表の女性詩人の朗読を聴いたとき、意味はまったくわからないのに、気づいたら涙が流れていました。

大会最終日の夜、会場近くのオープンカフェ。自然と集まってきた各国代表たちと、酒を飲みました。誰かがギターを弾くのに合わせ、即興の朗読リレーが始まります。英語、フランス語、ロシア語、ポルトガル語…そして私も日本語で参加。言葉の壁を、声で越えた夜でした。

詩の朗読でこんなことができるのか!という驚き。そして何よりポエトリーリーディングに親しむ仲間が世界中にいるということを、肌で感じることができました。

W杯主催者に「この大会に日本からも参加したい。どうしたらいい?」と聞くと「それはお前が日本大会を主催して、日本代表を決めるしかないだろう?」という返事。な、なるほど。それで、このポエトリースラムジャパンを開催することになったというわけです。

※大会のきっかけとなった2014年パリでの経緯は、こちらの記事もご覧ください

そう、この大会の出発点は「ポエトリーリーディングを通じて世界とつながろう」です。「ポエトリーリーディング日本一を決めよう」ではなく、「優勝したらご褒美にパリW杯出場できます」でもありません。

詩を作ることや声に出すことは、ときに孤独でもあります。小さな世界で行き詰まることもあるでしょう。だけど同じように言葉を綴ったり、声に出している人がニューヨークにもパリにもいる。ナイロビにもモスクワにもメルボルンにもサンパウロにも、私が知らないどこかの町にもきっといる。それは少し愉快な気持ちになれる、少し勇気が出る話だと思いませんか。

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実は第一回大会を準備していたころから、5年続けたら区切りをつけようと考えていました。2019年の今年がその5年目。最後の大会なのですが、最後の大会だからこそ叶えたいことがあります。それは、ポエトリースラムジャパンを今まで以上に「みんなで作る」ということ。

たとえば、今大会ではそれぞれのエリア、それぞれの地区大会らしさを、これまで以上に大切にしています。地区大会によって、試合方法やルール、スタイルが少しずつ違う場合もあるでしょう。それは出場者やオーディエンスにとって楽しく心地よく、励みになるよう各主催者が考えてきた結果です。

もちろん、ポエトリースラムジャパンとして変わらず大切にしている価値もあります。たとえば、”The Point is not Points, the Point is Poetry” 「大切なのは点数じゃない、大切なのは詩だ」という言葉。このサイトやSNSの公式アカウントでもたびたび紹介していますが、海外のポエトリースラムでよく言われる決まり文句です。これこそポエトリースラムの精神といえるでしょう。

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あらためて

ポエトリースラムジャパンを応援いただいているみなさま。たくさんのご支援とご協力があってこそ、ここまで続けてこられました。2019年大会も最後まであたたかく熱く、見届けていただければ幸いです。

そしてポエトリースラムジャパンを最近知ったというあなた、ぜひ大会に遊びに来てください。10人いれば10通りの、100人いれば100通りの詩があり、リーディングがあります。その豊かさを楽しんでください。詩という比べようもないもの、競いようもないものが競い合う、これほどこれほど自由でカオスなイベントも珍しいでしょう。だからこそ、どこにもない面白さを保証します。そして、もしよかったら出場してみてください。さらに新しい世界が広がっているはずです。

ポエトリースラムジャパン2019、最後まで楽しんでいきましょう。

 ポエトリースラムジャパン代表 村田活彦